夜店メニュー

 お祭りが多い季節になると、食事やおやつに、お好み焼き、焼そば、イカ焼きとか焼きトウモロコシ、クレープとかの、夜店系のメニューを増やし、夜店の屋台に子供の食指があまり伸びないように気を使う。不味いものに高いカネを払うほどの余裕はない。
 ちなみに、私の育った地方では、「ズルをする」「人を騙す」という意味で「ヤシをする」ということばが広く使われていた。ヤシとはココナツのことではなく香具師のことである。
 とりあえずソース味のメニューを増やし、夜店味≒ソース味に飽きさせ、購買意欲を削いでおくという戦略で、その上で、たまたまひとつ何か食べてしまっても、家の方が圧倒的においしいという認識を与え、潜在的に〈他の夜店もあまりおいしくない〉という意識を持たせるのが目的である。
  お金に余裕のある家庭でも、衛生や栄養という観点から夜店の食べ物をなるべく食べさせないという方針の家も多いだろうけど、如何わしさもまた味わいなり、と、子供に夜店の楽しさを存分に経験させる、という選択肢がないのがカネコマである。