クラス会に出ない理由

 クラス会の案内が来た。往復ハガキが来るようなフォーマルなものではない。メールでの連絡で、せいぜい集まって10人くらいである。これまでも何回かあったようだが、そのときは、すでに外せない仕事が入っていて出られなかった。今回は、予告が早かったので仕事や用事を入れないでいることができた。
 着るものは、得意の似非マダムスタイルで行けばいいし、少々会費が高かろうと、久し振りなのだから、想定の倍なら2回に1回、3倍なら3回に1回出ることにして、次回、もしかしてその次の回も休めばいい。相変わらず貧乏だが、数年前の「フェーズ4」状態よりはましなのだ。出ようという気になった。
 だが、やめた。
 会場選びの段階で、行く気がなくなってしまった。
 何件か候補が上がっていた。それぞれ聞いたことがある店で、昼間の集まりが幾らくらいかかるか見当がついた。
 で、ある話題の店が候補に上がった。そこは、特に昼宴会のコースなどなく、彼女たちに言わせても「ちょっと高め」で、でも良い材料を使っていて話題の店で、そこを推す人がいるので、その店に決まりそう、といった時点で、やめよう、と思った。
 席料と、そこに行ったら必ず頼む飲み物で、すでに1500円かかることは知っている。
 そこからの料理であるが、特にコースなどはない。アラカルトで頼まなければならない。
 幾らかかるかわからない店に決まりそうになった時点で、すっと行きたい気持ちが消えた。かかるお金は4桁後半は覚悟しなきゃね、5桁に乗るなら2〜3回に1回行けばいいや(私の予算というのがバレるね)という問題ではない。
「予算の縛りがある人間がいる」ということに「まったく悪気なく考えが及んでいない」んじゃないか、と思ったからである。
 そういう人々の集まりには出ちゃいけない、と思ったからである。
 考えてみれば、集まるメンバーは大体固まっている。 
 全員が全員いわゆるセレブ、とまではいかないが、かなり暮らし向きの良い人々である。
 言っておくが、メンツは、すごくいい人たちばかりだ。連絡は取り合っているものの、見栄など張った覚えはない。かといって当方の経済状況について喧伝する必要もないのでしていなかった。それで、私も裕福な自営夫人だと思われていたのかも知れない。
 他の店なら行くのか、もっと安い店なら来てくれるか、というメールがあったが、安い店ならいい、と、言えるか。