涙ぐましい周到な計画(笑)

 なんで貧乏人の分際で、ひとり1780円のランチを食べているのか、種明かしをしよう。
 私は不定期にバイトに行っているが、交通費実費が出る。で、西鉄バスのバス代が往復2000円くらい以上になるときは、あと570円自腹切って足して「FUKUOKA体験バスチケット」というのを買っているのだ。
 フリー乗車券+約1030円分の体験チケット2枚で2570円になるのだが、このフリー乗車券というのが、他では売られていない企画のもので、一応510円とバス会社は言うが、510円どころではない価値のあるしろものなのである。
 利用範囲が結構広いのだ。
 普通に単独で売られているフリー乗車券は、土日祝510円、平日用は620円するのだが、使える範囲は福岡市内、天神や博多から230円以内で行けるところまでで、結構狭い。福岡のローカルな地名がたくさん出て来て恐縮だが、使えるのは、東は貝塚まで。つまり箱崎には行けても香椎はアウト。西は海辺は福岡タワー、西新防塁までで、藤崎とか室見、姪浜はアウトである。南だって日赤通りは九州中央病院のところまでしか行けないから、大橋はアウトである。細かく乗り降りするのでない場合は、あまりお得感はない。
 ところが「FUKUOKA体験バスチケット」の福岡都市圏フリー乗車券はもっと利用範囲が広い。510円どころの価値ではない。
 北九州や筑豊では使えないし、特急バスや高速バスも使えない。範囲内の一般路線バスだけ。でも、福岡都市圏なら、甘木朝倉や宗像赤間あたりまで使える。そうなると、たとえば甘木の仕事があったとする。バスで甘木に行くには博多から800円くらいかかる。自宅から博多バスセンターに行く運賃を足せば、軽く片道1000円越えする。バス運賃は会社から出るし、普通運賃である限り、特に領収書もいらないから、体験バスチケット2570円を買えば、きちんと往復できて、2000円交通費がもらえて、手元には570円自腹を切ることで手にした体験チケット1030円相当が2枚残るのである。
 ところで、パンフレットのどこにも書いてないことだが、体験チケット利用日とフリー乗車券利用日は必ずしも同じでなくていい。つまり、バスに用事がある日にバスに乗り、1030円チケット2枚を使いたい日に使えばいいのである。
 で、そのチケットで、食事ができるところは、多くはないがいろいろある。使える店は限られているが、天神の屋台でビールとギョーザ、という使い方もできる。そのなかで最もお得感があるのが、博物館のレストランのランチなのだ。前日予約が必要なので、気が向いてふらっと、というわけにはいかないけど、今回は子供の誕生日の外食ということで、予約した。
 つまり、ふらっと入って食べるとふたりで3580円になるランチを、周到な計画(笑)により、570円という、マクドナルドのバリューセットがひとつ買えるかどうかという金額で、食べることができたのである。
 ほんのちょっとだけ改まった食事。内容的にはファミレスに近くてもやはりチェーンのファミレスでないレストランの食事を誕生日なんだからさせてやりたかったのだ。
 この体験チケットを企画した人と、利用先となってくれたレストランに感謝である。