サバイバル

 遠く離れた九州で、何が危機かというと、これまで、フツーの日本の貧乏人は、所得の再分配によって何とか生き延びてきた。
 ようするに、日本は、豊かなので、貧乏を理由に、飢えることや死ぬことは、あまりなかったのである。だから、この貧乏主婦日記も、呑気でこすっからい節約日記として楽しんでいただけていたのだと思う。
 
 だが、この震災を境にして、

 豊かな日本は、原発の上を漂う一艘の小舟に過ぎなかったわけだということが露呈してしまったから、もうもとのようには戻らないのだ。貧乏だと飢えるし死ぬ。弱い者から死ぬ。そういった社会になってしまうのだ。

 だから、テレビ画面を見て、私の全細胞が危機を訴えたのである。
 夫婦だけなら、もう充分生きた。子供はどうするのだ。まだひとりではとても生きてはいけない。どうするのだ。絶望が許されないということ。

 自分に言い聞かせる。
 生きろ。頭と、あらゆる手を使って。