サラ金問題(B)本当の賤業とは

 サイトを見たら「アコムは、三菱UFJフィナンシャル・グループの一員です」とあった。「○○は東証一部上場企業です」という広告表現と同じように、見る人の信用を得ようとする文言と思って使っているつもりだろうが、結局、高利貸は銀行の事業のひとつであると公言してはばからないってことだ。
 
 なんで銀行が消費者に直接貸し付けをせずに、サラ金に資金をまわすのかという疑問がわく方も多いと思う。
 はっきり言う。銀行に審査能力などない。土地の担保価値が膨れ上がったバブル経済のときに、担保価値が高いのだから担保の土地がありさえすれば審査は簡単で銀行はいくらでもお金が貸せたわけ。その1980年代後半の数年間のうちに、銀行は急速に審査能力を失っていった。私はそう思っている。
 そのうちバブル崩壊で、さまざまな資金が回収不能になり、今度は銀行は自信喪失状態となった。お金を貸す力、という点において、ひじょうに機能が弱くなったのだ。貸し渋りはじつは貸し怖じけでもあったのだ。
 リテールバンキング残高を減らしていって、リテール、高利、回収についてのノウハウを持つサラ金を傘下に持ったり、街金、サラ金に資金をより多く投入するようになったのはそういうわけだ。
 んで、街金の資金回収は、ご記憶だろう。恐怖の「腎臓」電話。
 サラ金の回収は、生命保険ってわけ。
 まさか銀行が「腎臓片っぽ売って」っていうわけにはいかないわね。それはともかく、まさか銀行が「勝手に生命保険」っていったら信用なくすわよね。でも、今問題になってるサラ金の「勝手に生命保険」は、間接的に銀行がやってるのと同じことじゃないのか。
 ただ、銀行は、人の財布を押さえてるので、あからさまに発言する人が少ないだけで。
 私に銀行がお金貸してくれるとも思えないから、言っちゃう。
 近所の奥様が何年か前、こんなこと言ってた。「賎しい職業ってのは、職業のことじゃなくて、弱い人を騙したり食い物にしてお金儲けする仕事のことだと思う」。彼女は、そのときは弁護士のことを引き合いに出して言ってたんだけど、なるほどなと思った。
 賤業ということばについてこれからも自分は考え続けると思う。