ワークシェアリングについての貧乏主婦の見解

「給料は半分になっていいから、週三日だけ働きたい」
 勤め人の時に私は切望していた。
 
 転職の末、いつのまにか年収は以前の三倍近くになった。ただ、何ら身に付くものがない。会社以外では役立たないことばかり。それも、会社のシステムはコロコロ変わるから、社内でも役に立たないことが起きる。お金以外何の蓄積もできない。好きなことしてないってのはこういうことなんだろうな、と思った。忙しい。土曜日は仕事で疲れて寝て過ごし、日曜くらいしか活動できない。本を読む余裕がない。何も勉強できない。
 働く時間を減らそうと思ったら、バイトになるしかないが、バイトになった上に働く時間を減らすと、年収は四分の一になってしまう。前の職場よりも安くなり、それでは生活できない。時給はアルバイトの倍近くで「好きな働き方ができる」という「派遣」OLという働き方は、都会にはあるらしいが、当時の田舎町では募集していなかった。

 今、話題のワークシェアリングは、労働時間は減り、給料もそれに見合って減るものだとすれば、まさに当時私が切望していたところのものだ。

 親元にいるとか、二馬力で働いているとか、ともかく、ワークシェアリング後の給料で何とか生きていけるのだとしたら、千載一遇のチャンスだ。正社員の時給と待遇で自由時間が増える。やりたかった勉強ができる。資格試験にチャレンジすることもできる。料理だとか、家庭内の修繕だとか、いろいろなものを外注しないで手づくりすれば、支出も減り、より人間らしい生活ができるんじゃないか。
 
 世の中に余裕があるうちに、そういうシステムが考えられていたらな、とは思う。今の「日本型ワークシェアリング」って、経営側の都合だけ、みたいな気がする。「ワークシェアリングみたいな考え方もひとつの選択肢で、そういう選択をする企業があってもおかしくない」と言った財界人は、まさにハケン切り経営者じゃなかったっけ。だから抵抗が強くてなかなか実現しないんじゃないかと。