ゆとりある老後。

月末が来る。
 年初からいきなり薄氷の上を歩かされてる。
 まあ、大丈夫だろうとは思うが。

「あなたの退職金は14年で底をつくかもしれない?」という広告。
 つまり、退職したときに2500万円貯金があったとして、一般的にゆとりある老後生活に必要とされる毎月の生活費約37.9万円と標準的な年金月額23.3万円の差額を貯金から取り崩していくと、14年2ヵ月で底をつくというグラフがあって、だから資産運用はうちの銀行に相談しろという銀行の広告なのだ。退職金も定年もない生活をしている私は、「おや?」と思う。
 「一般的にゆとりある老後生活に必要とされる毎月の生活費」に38万もかける働いてない年寄りがどのくらいいるのか? 家を買った人は住宅ローンは終わってるだろうし、買ってない人も、年寄り夫婦で広い賃貸は不要だろう。教育費もかからないし、流行追って服を新調することもない。食が細くなるだろうから食費もかからないし、時間があるなら手作りもしやすい。庭があるなら家庭菜園に挑戦するであろう。 
 食うに困らず趣味も楽しめる生活を送るには、そんなにはいらない。
 年に一度は海外旅行がしたい、とか、海外旅行並みの宿泊費のかかる国内大尽旅行がしたい、というのなら話は別だけどね。

 下手に金を持っていてもオレオレか催眠商法に引っ掛かるか、孫に吸い上げられるがオチである。

 「これを読んで86.9%の人が納得感をもってくださいました」
 とあるが、
    納得できた23.1%
    少し納得できた63.8%
 である。何をもって少し納得できたのか? 「こんなに金がいることはないだろうが(少し)」「無駄遣いはできんな(納得)」程度のことではないのか? 

 しかもその銀行に相談する資産運用は、広告に数字が出てる0.6%債券のことではなく、利回り3%とか5%で運用するもののようで、どうも元本保証のものではないのだ。つまり運用次第ではゆとりもへったくれもなくなるリスクつき商品のことのようである。

「ゆとりある老後」の何をもって「ゆとり」というか、だな。「一般的に」というのも何が基準の「一般的」なんだろうな。