今日もまた白昼にベルが鳴る

 迷惑電話は犯罪である。
個人が神経性胃腸炎などの病気にかかれば傷害罪となり、事業所の業務に差し障るようになれば威力業務妨害に問われる。しかしそれは特定の人物からの執拗なものについてであり、あちこちからバラバラにかかってくる迷惑電話については、罪に問いようがないというのが現実である。
 留守電やナンバーディスプレイで対応しておられるご家庭も多いだろうが、自営業なので電話には出ないといけない。ところが仕事の電話はあまりかかってこない。よくかかるようなら、貧乏主婦ではないだろう、きっと。
 セールス電話は、向こうとて商売だから致し方ないものだが、こちらの都合を無視していいものではない。てゆーか、余分なお金がここには全然ないので、うちにかけたって無駄なの、無駄。いいお客さんにはどのみちなれないのだ。だから、私に電話してくる時点で終わってると思っても差し支えない。あまり役に立たない名簿しか入手できていないということだからね。
 それにしても、ギョーザの皮を練ってるときに不特定多数向けのセールス電話をかけてこられても困る。受話器が粉だらけになってしまうではないか。

 たいがいのものは「興味ございません」でOKである。が、暇だとついつい受け答えをしてしまう。

 今日かかった電話は、コピー機のメンテナンスの件だと。
「あの、私どものところにコピーを持って来られた業者さんでしょうか?」
「いえ、そうではありませんが」
「メンテナンスとかアフターサービスというのは、納入業者が行うものじゃないんですか? はじめてこちらに電話する人が使うと、日本語として変ではありませんか?」
「そうでしょうか?」
 とぼけるんじゃーありませんよっ。
 この種の電話がいちばん嫌だ。メンテナンスとかアフターケアとあたかも取引の継続のような話法で、相手の情報を引き出そうとしている。人をだますような話法の業者となんで付き合えましょう。てゆーか、お金ないの。
 で、言うのだ。
「でも、私どものところにはコピー機はございませんよ」
 残 念 で し た。