いやなCM

  台風一過の静かな朝。風にちぎれた葉や枝があちこちに散らばっている。 

 テレビコマーシャルを見ることはすなわち民放の受信料を支払っていることではあるけど、とてもいやなのがNOVAとオフィス24。
NOVAは英語で助けを求める男を言葉が通じないから「ごめんなさい」と泣きながら見捨てて逃げて英会話学校に入る少女。
 下敷きになってるから助けてくれというのは見ればわかる。言語以前のコミュニケーションができない人間は、英会話を習ったって駄目。誰も救えない。時間とお金の無駄だ。
 まあ、「NOVAに行っても時間とお金の無駄」というのがあのコマーシャルのコンセプト(←使うのも恥ずかしい言葉)なら納得。
 オフィス24は犬の首に鳥の胴をつないで動かしているCG(コンピュータ・グラフィック)。昔から、赤ん坊を踊らせたりするCGや、人をやみくもに増殖させるCGが鼻についていけなかったが、これは一番あきまへん。
 猟奇的で、公園で真似をする愚か者が出てきそうな感じで。
 近頃、想像を絶する事件が多い。つまり自分の妄想を簡単に具現化する愚か者が多いということ。そんな妄想が浮かんでこなかった人間も、何かを見るなり読むなりすると想像が及ぶようになる。そして想像が及ぶ範囲についてはどんなひどいことでもそれはどこかで簡単に現実となるんじゃないかと。
 どこかの子供が家に火をつけたら、全国で自分の家に火をつける子供が次々に出てきた。愚か者は真似をする。ニュースであればある程度報道せざるを得ないが、CMは、そうではない。
 真似する愚か者は出ないだろうと思うほど目出度いクリエーターなのだろうか。
 これを見て気持ち悪くなる人はいないと思ったんだろうか。
 やっていいCGと悪いCGがある。
 つまりこれは私に博多駅前のオフィス24で、今後一切文具を買うなということであれば納得。