美しい国、っていうか……

 9月12日付の毎日新聞朝刊。手に入らない方は図書館ででも銀行ででもご覧いただきたいのだが、自由民主党の総裁候補3名が揮毫を寄せている。「揮ごうにこめたリーダーへの決意」として。
 筆文字である。
 それが、実に素晴らしい。いいもん見せてもらいました。感動して涙がちょちょ切れるってもんだ。

 麻生太郎さんの字は、たぶんお習字を習ってた人の字で、はね、止め、払いがちゃんとできてて、一字一字は一見カッコいいけど、バランスが……。でも、この人のはまだ上手、下手のコメントができるだけいいのよ。問題は残りの二人。
 谷垣禎一さんの字は、「絆」の糸へんの下半身がはねているし、横書きの「止め」がガタガタである。頼りない筆致が、毛筆を初めて持った人のような字だ。でもまだちゃんと読めるだけましか。
 いちばん問題なのは、総裁=首相候補本命の方の文字。変な行書? 読めないんですけど? 「心」という字がどう見ても三つの同じ大きさの点<だけ>で書かれている。そういう字ってあるのか? 教えて、書道の先生。たいがいの悪筆は下手は下手なりに知性が伝わってくるもんだが、これはいけない。絶対に漢字が通じる国で条約批准のサインとかして欲しくない。笑われるから。

 「美しい国」を論じる前に、美しい文字とまではいかなくても、読める文字を書いてはくれまいか?

 てか、大丈夫なのか、こんな総裁で? 自民党? この人が首相で? 日本?
 この字を見せたあとの国民の支持率をもう一度調査しても、変化はないものだろうか?