哀愁のまぼろしバスツアー

 青い空。飲料メーカー提供のバスツアー。っていっても寝てたけどね。ま、子供は喜んでいたし。
 手際の悪さは予測できた。
 何しろ、パソコン出力の募集ポスター自体なってなかった。だから簡単に当選したんだろうけど。
 対象商品を含む○○○円以上のレシートをハガキに貼って応募くださいって、何が対象商品か書いてないし。第一、そのスーパーのレシートでは商品名は印字されない。どうやって判別するんだ。同じ値段のライバル社のライバル商品買って応募してもわからない。
 極め付けは、ポスターのバスツアーの日付けと曜日が合ってなかった。2006年としてはありえない日付けのまぼろしバスツアーだったのだ。
 この場合、応募者が少ないことは容易に予測できる。私はあえて開催日を確認するためにポスターの連絡先に問い合わせたりしなかった。ポスターを正しい日時に訂正されると応募者が増えて当選の確率が低くなると思ったからである。
 ちなみに締めきり終了までポスターの訂正はなかった。
だから、参加者のかなりの人数がサクラ(会社関係者)であると私は睨んでいる。何人かはその会社のノベルティをすでに使っていたし、その会社の紙袋を使っている人が客の中にいたことを私は見逃さなかった。一般人はあまり集まらなかったのだ、たぶん。
 バスツアーを案内したのは社員の中年男性で、たぶん事務方だろうが、広報・宣伝担当ではなさそうな気がした。何をどうするかの細かい打ち合わせなしに、案内しているようだった。本社からバスツアーを行うように要請があり、仕方がないので担当者をくじびきで決めた、そんな感じがした。
 なにしろ、その日のその時間、工場のラインは停止していた。動かない無人の工場をガラス越しに見学した……って、何のための工場見学? 稼動しない生産ラインとビデオを見に、はるばる高速乗って工場に行ったの?
 
 一体全体何のためのバスツアーだったんだ? 
 いえ、ありがとうございました。お弁当おいしゅうございました、博物館面白うございました、おみやげ(ノベルティとサンプル)ありがとうございました。でも、何のため?  会社の宣伝にはあまりならなかったと思う。
 これで、もう、この夏の「当たり」は使い果たした。もひとつ当たりをと思って宝くじ売場に寄るが、サマージャンボ売り切れ。