健康で文化的な最低限度の生活

 映画と美術館と博物館とコンサートと芝居は、すべて無料か、当たりくじである。
 劇場用新作の試写会は、今年は16本は観たし、コンサートは8つ、劇はひとつ、美術館博物館も5回は行った。交通費のみで鑑賞可能なのは有り難い。
 とりあえず、試写会が当たったら、その日には仕事は入れない。仕事を入れてしまった日の試写会が当たったら泣く泣くあきらめるつもりだが、まだそういう不運には当たったことはない。
 ある程度生活が文化的であれば、さほど貧乏を意識することもない。
 貧困とは、心を枯渇させることなのだとつくづく思う。
 心が大丈夫なら、貧乏だからといって、それほどひどい心境にはならなくて済むのである。
 とはいえ、貧乏な文化生活の欠点はある。観るもの聴くものを選べないのである。だが、文句を言っていてはいけない。
 昔、まだ一家で夕方、一人千円のレイトショーとはいえ、有料の映画を観に行っていた時代、いい映画もあったけど、お金返してほしいというつまんない映画もあったではないか。
 選んで観た映画でも思い通りでないこともあるのだから、試写ばっかりでもいいじゃないかと思ったりするのだ。